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長崎地方裁判所 昭和45年(ワ)482号 判決 1975年1月14日

原告

中本巌

ほか一名

被告

長崎県

主文

一  被告は原告中本巌に対し、金三一〇万円及びこれに対する昭和四五年一二月二二日より完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は原告中本カズエに対し、金二七〇万円及びこれに対する昭和四五年一二月二二日より完済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らのその余の請求はいずれもこれを棄却する。

四  訴訟費用はこれを四分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。

五  この判決は第一、二項に限り仮に執行することができる。

事実

一  原告らは、「一 被告は原告中本巌に対し金四〇〇万円及びこれに対する昭和四五年一二月二二日より完済まで年五分の割合による金員を支払え、二 被告は原告中本カズエに対し金三五〇万円及びこれに対する前同日より完済まで前同様の割合による金員を支払え、三 訴訟費用は被告の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求原因として、次のとおり述べた。

(一)  (事故の発生)

亡中本勝彦は、昭和四四年一月七日午前五時三〇分頃、普通貨物自動車(広島四す二〇八二号)を運転し、長崎市旭町一丁目二四の二五松谷甚太郎方前海沿いの道路を稲佐橋方面から旭棧橋方面に向つて進行し、同所直角カーブにさしかかつたが、右直角カーブに気付くのが遅れてカーブを曲り切れずそのまゝ海に転落し、その結果死亡した。

(二)  (事故の原因)

1  本件事故は、事故現場である海沿いの直角カーブする道路に、カーブを警告し事故を防止する施設がなかつたことにより発生したが、次に述べるとおり、魚港区域内の漁港施設の設置、管理に存在した瑕疵を原因として発生したものである。

2  本件事故現場は、幅員約六米の道路が海沿いに延び、これが直角にカーブし、「コ」の字形に曲折して再び海沿いに走つており、この「コ」の字形の凹部分に海が入り込んで漁船の接岸荷役に利用されている。従つて、亡勝彦が進行した稲佐橋方面から旭棧橋方面を望見すると、「コ」の字形の凹部分に入り込んだ海面を判別できず、恰かも道路が海沿いに一直線に延びているかのようにみえる。そのため本件事故現場はよほど地理にくわしい人でないと危険であり、しかも昼夜共に交通量は多い。

3  しかるに、本件事故当時、事故現場には、夜間の照明施設が十分でなく、直角カーブの存在を示すような道路標識ないし標示等は勿論、自動車運転者に徐行を要求する警戒標識もなく、更に事故防止のためのガードレール等の安全施設も設置されていなかつた。

4  このような道路を通行する自動車運転者は、道路が「コ」の字形に曲折して直角カーブになつていることは全く予想しないのが普通であり、特に夜間においては、本件のような直角カーブのあることは、自動車の照明だけでは、特別に徐行するかもしくは急制動による停止をしても、速度、進路等によつては、事故の発生を防止できない程の至近距離に至らなければ、発見し得ない。

5  以上のように、本件では危険な漁港施設が何らの事故防止措置を講ずることなく、道路として一般交通の用に供せられたのであり、道路管理の面では勿論漁港施設の設置、管理の面でも瑕疵があり、このような瑕疵が原因となつて、本件事故が発生したことは明らかである。

(三)  (責任原因)

事故発生地点の漁港施設は、被告が管理している公の営造物である。従つて被告は、国家賠償法第二条第一項により右施設の設置、管理に瑕疵があつたため原告らに生じた後記の損害を賠償すべき義務がある。

(四)  (損害額)

1  亡勝彦の得べかりし利益 金七〇〇万円

亡勝彦は原告らの長男(一人息子)として昭和二三年二月一一日に生れた(事故当時満二〇才)普通健康体の男子で、青果物商の家業に専従するかたわら、自動車運転の技能(免許証取得)を生かして臨時に他企業の自動車運転業務に従事し、一ケ月平均三万円以上の収入を得ていた。そして満二〇才の日本男子の平均余命は四九年、就労可能年数は四三年であるから、亡勝彦の死亡により免れる消費支出額を収入の三割とみて、本件事故が発生しなかつた場合、亡勝彦の得べかりし利益をホフマン式計算により算出すると、その額は八六九万円以上となるが、そのうち金七〇〇万円を請求する。

2  亡勝彦の慰藉料 金三〇〇万円

亡勝彦は満二〇才の明朗、活発な青年で、近所も働き者として評判がよかつた。老いた原告の父をかばい、一家の支柱となり率先して家業に専念していたのであるが、本人を中心とする家庭生活も本件事故により、無惨にも破壊された。その精神的苦痛は筆舌に尽し難く、この精神的損害は金三〇〇万円をもつて慰藉されるのが相当である。

3  原告らの慰藉料 各金一五〇万円

原告中本巌(当五〇才)、同中本カズエ(当四五才)は、本件事故により長男で一人息子の勝彦を失つたが、この精神的打撃、苦痛も言語を絶するものであるから、原告らの慰藉料は少くとも各一五〇万円をもつて相当とする。

4  葬祭料等 金二〇万円

原告中本巌は、勝彦の死亡により社会生活上相当程度の葬儀を行ない、合計二〇万円以上の葬祭料、死体引取費用の支出をした。

5  車両損害等 金三〇万円

原告中本巌は、亡勝彦運転にかゝる自動車が海中に転落し全損となつたため、この損害と引揚費用を負担した。この損害が合計金三一万五、〇〇〇円であるが、このうち金三〇万円を請求する。

6  弁護士費用 金一〇万円

原告中本巌は原告訴訟代理人に対し弁護士費用として金一〇万円を支出した。

7  亡勝彦の相続人は、父母である原告両名のみであるから、原告両名は前記(1)及び(2)の合計金一〇〇〇万円の損害賠償権を平等の割合で各五〇〇万円宛相続した。

8  従つて、原告中本巌は前記(3)ないし(7)の合計金七一〇万円、原告中本カズエは(3)及び(7)の合計金六五〇万円の損害を蒙つたことになるが、亡勝彦の過失による相殺を考慮して、原告中本巌はそのうちの金四〇〇万円、原告中本カズエはそのうちの金三五〇万円をそれぞれ請求する。

(五)  よつて、原告らは被告に対し、前記各損害金及びこれらに対する本件訴状送達日の翌日である昭和四五年一二月二三日より各完済まで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  被告は、「原告らの請求を棄却する、訴訟費用は原告らの負担とする」との判決を求め、答弁及び主張として、次のとおり述べた。

(一)  請求原因(一)の事実は認める。

同(二)の事実のうち、本件事故現場が「コ」の字形の凹部分に海が入り込み、それに沿つて道路が直角にカーブしていること、本件事故当時、事故現場には徐行を要求する標識及びガードレールが設置されていなかつたことは認めるが、その余は否認。

同(三)の事実のうち、本件事故現場附近の道路棧橋の管理者が被告であることは認めるが、その余は否認。

同(四)の事実はすべて不知。

(二)  本件事故現場に通じ、亡勝彦が進行してきたと考えられる道路は、長崎漁港の臨港道路であつて、漁港施設との連絡を目的として設置されたものであつて、道路法上のいわゆる道路ではない。

右道路の海岸側には、一定の間隔で常夜灯が設置されており、午前七時から午後一二時までは時速三〇キロメートルの速度制限をすべき旨の標示がなされ、道路中央及びカーブの部分には白ペンキで線が引いてあるから、カーブの部分はすぐわかるようになつている。「コ」の字形の凹部分に入り込んだ海面には常時小船が係留され、事故当時も伝馬船等が数隻係留されていた。従つて右道路は、前方を注視していれば、原告らが主張するように道路が一直線に通じていると感違いするような場所ではない。

(三)  (抗弁)

亡勝彦は、事故の前日午後七時二〇分頃自動車で広島の自宅を出発し、長崎市までおそらく不眠不休で自動車を運転しつづけ、事故現場附近には午前五時半頃到達したものであるから、同人は極度の疲労と不眠のため、注意力が極度に低下していたものと思われる。

本件事故は、亡勝彦が土地不案内のうえ、疲労と不眠で注意力が極度に低下したままでスピードを出して自動車を運転したため、本件臨港道路に迷い込み、道路が曲折しているのに、これに気付くのが遅れて海中に転落したものであつて、亡勝彦の重大な過失にもとづくものである。従つて損害額の算定には右の事情が斟酌されるべきである。〔証拠関係略〕

理由

一  請求原因(一)の事実及び本件事故が発生した道路や棧橋(以下単に本件道路という)の管理者が被告であることは当事者間に争いがなく、本件道路は、長崎漁港の漁港施設のために設置された臨港道路であり、かつ一般の交通の用に供されていることは、〔証拠略〕によつてこれを認めることができるから、国家賠償法第二条第一項の「公の営造物」であることが明らかである。

二  そこで、次に、本件道路の設置又は管理に瑕疵があつたか否かについて検討する。

〔証拠略〕を綜合すると、次の事実が認められる。

(一)  本件事故現場の道路(本件道路)は、北方面の稲佐橋交差点から長崎港の海沿いに南方面の旭棧橋に出て直角に右折し、南北に走る広い国道二〇二号線と交る(旭町交差点)県道であり、本件事故は、亡勝彦運転の自動車が旭棧橋に出たところで右折しないで直進し、そのまゝ海に転落した事故である。

(二)  本件道路は、歩車道の区別がなく幅約一〇・六メートルのアスフアルト舗装道路で、前記の右折地点から北方向(稲佐橋方向)に少なくとも一五〇メートル位までは一直線になつていて見通しがよく、道路東側(本件車の進行方向に向つて左側)には、旭棧橋まで海沿いに本件道路と併行して幅約六メートルの荷揚場があり、同所には船舶用のロープ、荷揚用の機械、自動車その他のものが本件道路に沿つて多量に雑然と置いてあり、道路西側(同右側)は、右折地点まで漁業関係等の会社や人家が道路沿いに建ち並んでいる。右折地点の道路南側は、直ちに旭棧橋になつていて(同所は江の浦川の川口でもある)、道路南端には幅四〇センチメートル位のコンクリート製の路肩が道路と同じ高さに設けられており、右道路南側部分はその下部断面部分とともに棧橋の北側岸壁になつていて、天馬船等小船の船着場としても使用されているが、道路表面には船を係累するための杭等は全くない。旭棧橋は、幅が二〇ないし二五メートル位で、海面は、本件当日の満潮時(午前八時頃)で本件道路より約二メートル下位にあり(従つて本件当時は右よりも下位にあつたと考えられる)、右棧橋南側(対岸)は、本件道路とほゞ同規模の直線道路が本件道路よりやゝ東寄り(海寄り)のところを右棧橋の南側岸壁から南方向に延びている。

ところで、本件道路の設置又は管理に「瑕疵」があるとは、本件道路が自動車等の交通につき本来具備すべき安全性が欠如している状態をいうものと解されるところ、右の認定事実と〔証拠略〕によれば、本件道路は旭棧橋のところで突然直角に右折していて、道路前方が急に切れ直ちに海に落ち込んでいるが、前記のとおり棧橋の海面部分が低くなつており、しかも棧橋の南側対岸(岸壁)が本件道路とほゞ同じ高さになつていて、同所より南方向に道路が一直線に延びている(対岸のビルデイングー検証調書の建物(A)―は本件当時はなかつた)から、自動車で本件道路を北方面(稲佐橋方面)から南方面(旭棧橋方面)に向つて進行してきた場合、とくに同所をはじめて通るものにとつては、昼間でも棧橋の海面がみえず(旭棧橋に三〇メートル接近してもみえない)一見あたかも本件道路が前記の対岸道路に続いているようにみえないではなく、従つて夜間の場合には棧橋附近やその先の対岸道路が暗いこともあつて(対岸道路端の外灯がついていれば尚更)、自動車の前照灯のみでは、本件道路が棧橋対岸に向つて直接に延びているように錯覚するおそれが十分にあり、かつそのような錯覚に早く気付くことは困難な状況にあつたというべきである。

本件事故現場は、とくに夜間においては、右のように危険な状況にあつたのであるから、右の危険な状況を警告するために、少なくとも、本件事故現場とそれより北方向に適当な距離をおいたところに、道路が直角に右折していることを示す道路標識ないし道路標示等及び徐行もしくはそれに近い速度制限を示す道路標識ないし道路標示を設置するとともに、本件道路南側に転落事故を予防するためのガードレール等の安全設備を設置すべきであつた。

しかるに、前記の認定事実によれば、本件道路中央部分の路面に標示鋲と点線状の白線によつて道路が右折していることを標示されているとともに、本件事故現場東寄りの荷揚場(本件車の進行方向に向つて左側)に、午前七時から午後八時(ないし午後一二時)までの間のみ時速三〇キロメートルの速度制限を示す道路標識が設置されているほかには、常夜灯(二〇〇ワツト)が本件道路東側の海沿いに、本件事故現場より約三〇メートル北寄りのところとに一個と、更にそれより一〇〇メートル位北寄りのところに一個それぞれ設置されているだけであつて、それ以外には前記のような事故防止のための安全設備は設置されていなかつたことが認められ、これらの事実によれば、本件道路は、交通のための安全設備は極めて不十分であつて、その設置又は管理に「瑕疵」があつたというべきである。

尚、被告は本件事故現場にガードレール等を設置することは、同所が小船の船着場として利用されているところから、荷役作業等に支障をきたすから、それを設置する義務はないと主張するが、先に述べたように被告が本件道路を一般の交通のために使用させていたのであるから、前記のような事故発生の危険性がある以上これを防止するために安全設備を設置すべきことは当然であつて、主張のような事由があるからといつて、被告がガードレール等を設置する義務を免かることができないことはいうをまたない。

以上のとおり、被告が管理する本件道路にはその設置又は管理に「瑕疵」のあつたことが認められるから、被告は原告らに対し、右の瑕疵によつて発生した後記の損害を賠償すべき義務がある。

三  次に、被告主張の過失相殺についてみるに、(イ)〔証拠略〕によれば、亡勝彦は友人に頼まれ、事故当日の一月七日に工作部品を長崎市内の三菱重工に運搬するために、呉市内の自宅より自動車を運転して長崎市内にきたものであるが、同人はその前日の午後自宅で休養をとつた後、午後七時二〇分頃自宅を出発し、翌七日の午前五時三〇分頃事故現場に到着したことが認められるから、右の走行距離と所要時間(約一〇時間)からすれば、同人は前日午後に休養をとつたとはいうものの、全行程をほとんど不眠不休で運転を続けてきたものとみるべきであるから、同人は本件事故当時は疲労の蓄積が著しく、そのため注意力が相当低下していたと考えられること、(ロ)〔証拠略〕によれば、本件当日は降雪のため路面が湿つていたものの、前記のように不十分ながら路面の標示鋲や白線によつて道路が右折していることが標示されていたこと等の事情からすれば、同人がよく注意すれば道路前方の危険性について全く気づきえないわけではなかつたと考えられること、そして(ハ)右証拠によれば、事故現場に残されたタイヤのスリツプ痕が二条とも転落の瞬間まで直進方向に印象されていることが認められるところからすれば、同人が転落の危険に気づいたときは、ブレーキをかけるのが精一杯でハンドルを切る時間が全くなかつたものと認められること等の事実をあわせ考えると、同人は相当の疲労のために、転落の危険に気づくことができたにもかゝわらず、転落地点に接近するまで転落の危険に気づかなかつたことが事故の一因をなしていると認められるから、右の点に同人の過失があつたというべきである。従つて同人の右過失は後記の損害額の算定には過失相殺として斟酌されるべきであり、被告の前記瑕疵と比較すると、その割合はほゞ亡勝彦が四、被告が六とするのが相当である。

四  損害

1  亡勝彦の逸失利益 金三四〇万円

〔証拠略〕によれば、勝彦は原告らの長男(一人息子)で、本件当時二〇才の健康体の男子であり、家業の青果物商を手伝うかたわら、自動車運転のアルバイトをして、少なくとも一ケ月平均三万円の収入を得ていたことが認められるところ、運輸省作成の統計資料によれば、二〇才の日本人男子の就労可能年数は四三年(ホフマン式計算法による係数は二二・六一一)であるから、同人の生活費を収入の三割とみて、同人の逸失利益を算出すれば、その額は五六九万七、九七二円になる(3万円×12×0.7×22.611)。そして、これを前記認定の割合に応じて過失相殺すると、被告の賠償すべき額は金三四〇万円とするのが相当である。

2  亡勝彦の慰藉料 金一〇〇万円

〔証拠略〕によつて認められる同人の身上、境遇、前記過失相殺における事情及びその他諸般の事情を考慮すれば、同人の死亡に対する慰藉料は金一〇〇万円とするのが相当である。

3  相続

前記の認定事実によれば、亡勝彦の相続人は原告両名のみであるから、原告らは右1、2の合計金四四〇万円の債権について、その法定相続分に応じ、各自その二分の一に当る金二二〇万円宛の債権をそれぞれ相続により承継取得した。

4  原告ら固有の慰藉料 各金五〇万円

〔証拠略〕によれば、原告らは一人息子の勝彦の死亡により多大の精神的苦痛を蒙つたことが認められ、それに前記過失相殺における事情をあわせ考慮すると、原告らの慰藉料は各自金五〇万円宛とするのが相当である。

5  葬祭料等 金一二万円

〔証拠略〕によれば、原告は勝彦の葬祭料、死体引取費用として、少なくとも二〇万円を支出したことが認められるところ、これを前記の割合に応じて過失相殺すると、被告の負担すべき額は金一二万円となる。

6  車両損害等 金一八万円

〔証拠略〕によれば、原告巌は本件自動車を所有していたところ、右自動車が本件事故により全壊したこと、同原告はその引揚費用を支出したこと、そして以上は少なくとも三〇万円相当に評価できることが認められるが、これを前記割合に応じて過失相殺すると、その額は金一八万円になる。

7  弁護士費用 金一〇万円

〔証拠略〕によれば、原告巌は原告ら訴訟代理人に本件訴訟を委任し、その手数料として金一〇万円を支払つたことが認められ、本件訴訟の難度、請求認容額等を考慮すると、被告の負担すべき弁護士費用は少なくとも金一〇万円をもつて相当とする。

五  結論

以上のとおりであるから、被告は、原告巌に対し、右四の3ないし7の合計金三一〇万円及びこれに対する本件訴状送達日の翌日であることが記録上明らかな昭和四五年一二月二二日より完済まで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を、原告カズエに対し右四の3、4の合計金二七〇万円及びこれに対する右同日より完済まで右同様の割合による遅延損害金を、それぞれ支払うべき義務がある。よつて、原告の本訴請求は右の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条、仮執行の宣言につき同法第一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 青木誠二)

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